第156回

モニタのことを書いている最中ですが、ここで流れをぶった切って、短編小説第156回となります。

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「おや、相部屋の方がいたんですね」
「え、相部屋? 聞いてないんだけど」
「私も聞いてはいませんよ。でも、ここに入るつもりんなんでしょう? 私もです。じゃあ相部屋って事でしょう」
「違うから。単なる手違いのはずだから。一人分のスペースしかないでしょ、ここ」
「だけど、こんなことを間違うわけがないから、こうなる予定だったのでは?」
「困りますよ!」
「気にしてもしょうがないじゃないですか。それにほら、広いですし、ちょうどいいんじゃないですか?」
「よくないよ、大事な人生の門出に」
「大げさだなぁ、そんなに長い間いっしょになるわけじゃないし」
「な・が・い・で・す・よ! ひょっとしたら一生の問題だから」
「そんな顔、長い間見れませんよ」
「断固として相部屋を拒否する!」
「相手も人間ですよ? 勘弁してあげてください。やり直しも大変なんだから」
「あんたじゃなければ、まだ良かったのに。ちょくしょう。嗚呼……バラバラとはいかなくても、せめてご近所とか、分けてくれないかなぁ」
「もういいじゃないですか。これも運命です。これが縁で、一緒にお仕事なんてこともあるかもしれませんよ?」
「不景気だからねー。食いっぱぐれなければ、それでもいいけど」
「アイドルユニット、組んじゃったりして」
「え、お仕事ってそういうの? 自惚れ過ぎじゃない? でもちょっと興味あるかも」
「ユニット名は、『ルームメイト』」
「わかりにくいよー、事情を知らない人にはー」
「まあまあ。て、ことで同じお部屋でよろしいですね?」
「わかったよ。ケンカしないでがんばろうね」
「ええ、双子同士、仲良くやりましょう」

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短編小説第156回、テーマ「ルームメイト」でした。
画像で、ネタばれになった……かな?