第118回
短編小説第118回目です。
なんだよ、また一週間開いてしまったよ、という感じです。
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不思議な鏡がある、と仲間から聞いたピースケは、その現場までやってきた。
鏡よ鏡、この世で一番……と問いかけると、『それはあなたです』とでも答えてくれるのだろうか。
確かに、鏡にはどことなく奇妙な様子があった。ピースケは、映った自分の姿に違和感を持った。
「不思議な鏡って、これかな?」
「コレ、不思議な鏡ジャないのデハ?」
呟いただけだった。鏡が答えて驚いた。
喋る鏡。この能力が不思議たる所以か。
とりあえず何か質問しなくては。いざとなると何を訊いていいのかわからないピースケは、簡単な問題を出した。
「1たす1は?」
「2カケル1ハ?」
「桃から生まれた?」
「サル、犬、キジを連れて鬼退治に行ったノハ?」
話がかみ合わない。質問に質問で返されるのは、所詮鏡だからか。音程も所々ずれた。
不思議ではあるが、面白いものではない――。
ピースケは、おやつに持ってきたナッツを取り出し、口に運ぼうとした。
すると、鏡に映った自分が急に身を乗り出してきて、ピースケが持っていたナッツを強引に奪った。
「何するんだ!」
「ヤメロヨ!」
わけがわからない。こんな意地悪も鏡の特徴か?
ピースケは我慢する。胸元を掻いて、緑色の羽をむしった。
鏡は反応しなかった。
ひょっとして、これは鏡ではないのか――?
鏡を縁取る枠は、細い金網模様になっている。映っている自分は、きれいな金の羽色だった。
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短編小説第118回、テーマ「インコ」でした。