そろそろみんな覚悟しておけよ。『家族のための<認知症>入門』

「小説しか読まない」と言っている私も、たまにはこんな本も読む。
というか、次の長編のための取材と言うか、下調べな訳だけど。

家族のための<認知症>入門 (PHP新書)

家族のための<認知症>入門 (PHP新書)

さて、タイトルにもあるように、この本は認知症患者を持つ「家族」のために書かれたものである。
読み進めていくうちにわかるが、認知症と言う病気、まず「受け入れられるか、どうか」が大事なようだ。
つまり、認知症でないまわりの私たち、家族が。


受け入れる、というのは、何も精神的な面だけではない。
徘徊、ご飯を食べたことを忘れる、自分の年齢を間違っている……
いろんなイメージがつきまとい、
親がこんな風になって恥ずかしい、
育ててくれた親がこんな風になってショックだ
と思うこともさまざまだろう。


ただ、その前にこれも病気。
ちゃんとした症状があるのだ。
それを見逃さずにきちんと、医者に相談してほしい、という意味でも受け入れなければならない、というメッセージを勝手に受け取った。
何より、認知症の初期症状がうつ病の症状に似ている、というのは、
言われてみれば納得だ。


また、経済的な面でも受け入れる、準備をしなければならない。
アメリカでは医療費のバカ高さが問題になっているようだが、
きちんとしたファイナンス手法を生み出せない我が国の保険制度にも少し寒気が走る。
最後に書かれてあった著者の本音

いまや国民の二十パーセントが高齢者になり、それがあと二十年後には三十三パーセント、つまり国民の三分の一が六十五歳いじょうになり、その人たちの七パーセントが認知症になるであろうと推定されているときに、「呆けた人がいるのは家の恥」などという間違った考えが通用するでしょうか。

これは結構重い一言だぞ、と。
我々はかなり真剣に認知症と向き合わなければならない時代がきているのかも。


★★★★☆