Macスイッチャーに送るちょっとした予備知識

Macスイッチャーと呼ぶくらいだから、当たり前なのかもしれないが、「次はMac買おうかと思ってるんだよね」と話す人は、会社でも自宅でも、まったくMacを触ってない人が多い。
Macは初心者でも使いやすいように、気をつかわれて設計されているパーソナルコンピュータではある。が、若干心配な部分が、それゆえの独特のMac文化や仕様は、時にはじめてのユーザを混乱させるのではないか、ということだ。
また、これまでWindowsをずっと使ってきたユーザは、「Macのこんなところで二の足を踏んでいる……」というセリフもよく宣う。
それで、使い慣れたMacユーザには、少々あくびがでるようなMacの予備知識を今回は書いてみようかと思う。

1. TimeMachineとSpotlight

 Macは、技術者が「これはすげえ」と息を呑むような仕組みを、初心者がわかりやすいように備えることに、命を削っていることが多々ある。
TimeMachineとSpotlightもその一つで、私が心配なのは、その命名の分かりにくさだ。
「買った時から入っているけど、一体何をするものなのかわからないから、使ってないんだよね」というのは、Windowsの世界にもよくあることだと思う。せっかくの良い技術だから、使わなければもったいない。
まず「Spotlight」は、簡単に言うと「検索」だ。
なぜ「ファイル検索」と書かないかと言うと、ある程度のテキストの中身、メタ情報までごりごりと検索してくれるから。
たとえば、「アップルストア」のことが書かれてあったメール。メールのタイトルは忘れてしまったけど、確かにあったんだよな……。ということはないだろうか。
もしくは、「アップルストア」にて集合だったイベント。いつだっただろうか。こんなスケジュール。
Spotlightはいちいち対応するアプリケーションを立ち上げなくても、画面の右上アイコンから、これらのことをがんがん検索してくれる。
「なんでも」検索してくれることと、「いつでも気軽に」検索できることの両方をそなえたSpotlightは、一見地味だが、あなたのパソコンライフを、かなり快適にしてくれる。


さてもう一個のわかりにくい名前「TimeMachine」。
これも簡単に言うと、自動バックアップ。
設定によって細かく指定はできるが、システムごとがつんとバックアップしてくれる。
セキュリティアップデートや0.0.1単位のOSアップデートで、愛用のアプリケーションが動かなくなってしまった。ということはないだろうか。
そんな時は、このTimeMachineで、前の環境に戻してしまうという、なんとも力技な環境維持方を採れるのだ。
システムごとバックアップをとるということは、それなりのディスクスペースが必要になるのだが、お仕事でMacを使うユーザには、導入の価値、絶大のバックアップ。



2.IM切り替えは、⌘ + スペース

同僚のプログラマが「ちょっとMacのブラウザで確認させて」と私のところにやってくることがある。そんな時、Macのキーボードを見ておろおろしている様子は、なんとも楽しい……いや、悲しいことだ。
基本的すぎてネット上の技術系記事には掲載されることはないのだが、MacでのIM(インプットメソッド)切り替えは、「⌘ + スペース」だ。
iMacやノートブックMacを購入すれば、たいていの場合日本語キーボードがついてきているから、迷うことは少ないかもしれない。Macの日本語キーボードには、「英数」「かな」というIM切り替えキーがついている。
ただ、スイッチャーの中には、Windowsで使っていたキーボードをそのまま使いたいという方がいるだろう。この「⌘ + スペース」も是非。


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3.秀丸じゃなくても、秀逸なエディタ


秀丸がないから、Macはだめ」という理由は、私にとって「TextExpander」がないからWindowsはだめ、というものか。
秀丸はなくても、Macにも秀逸なエディタはたくさんある。評判の良いエディタを少しだけ上げてみると、


Carbon Emacs


mi


Smultron


CotEditor


textmate


こういったものがある。
私はWindowsの「秀丸」を使い倒すと言う程、使ったことがないのであんまり断言はできないが、この中にあなたの「秀丸」はあるんじゃないだろうか。
くどいようだが、私はHTML、CSS制作において「mi」を使っている。かなりカスタマイズが効き、細かい使い勝手を自分好みにできる仕様は、かなり「秀丸」に近いんじゃないだろうか。何より軽い。
このエントリをご覧になったMacユーザの方々、是非「Macにおける私の秀丸はこれ」というのを教えていただきたい。

4.ごみ箱に「捨てる」んじゃないよ

MacってCDとか、フロッピーをマシンから出す時に、ごみ箱に捨てるじゃない? あれ、受け付けない」
Macユーザなら、絶対聞かされる文句である。
OS Xバージョン10.2ぐらいからだったろうか。この誤解は、アップルのOS開発者たちにも伝わったようで、CD、DVDを排出する際、Macのごみ箱アイコンは、「取り出し」アイコンに変わるようになった。
こういう「人間の思考」に基づいたアピアランスを提供してくれるのが、まさにMac
これでも「ごみ箱に捨てる」ことはない。我々は正当にディスクを取り出している!

5.周辺機器も大丈夫

これもあんまりアピールされていないことなのだが、あなたがお持ちの周辺機器、これがMacに移行したからといって、まったくの無駄になることは、少ないだろう。
MacOS Xは、なぜか、というか、当たり前か、かなりの周辺機器を認識する。「Mac対応」を謳っていなくても、だ。
もちろん「すべて」の周辺機器の「完全」なる互換性を維持しているわけではない。なので、この項目は「多分大丈夫」という風に受け取ってほしい。
ただ、本当にたくさんの「未対応」周辺機器を認識してくれることは確かだ。
秋葉原にでかけて、あやしい機器をたくさん購入してくる方は、もうこれだけでもMacは遊べるマシンだといえる。

6.BootCampは、初期化しなくても作成OK

MacではWindowsも使える」
これはもういろんな人が知っているMacのメリットの一つだ。
だが、一回Macの環境を構築して、後からパーティションを切って、Windowsを構築するのはちょっと……と二の足を踏んでいる人は多いんじゃないだろうか。
パーティションを切るには、一旦ハードディスクを初期化して、まっさらにするというのが基本だ。ここに至までにバックアップを取って、うんぬん……というのは、敷居が高い。
BootCampがでた時に私が驚いたことは、アップル自らがWindowsを使わせることと、初期化せずとも、Windowsディスクスペースを作ることが可能なことだ。
初期化しないパーティション作成方法は、技術としてすでにあったものだ。
だが、こうやって敷居を高くしない使い方を提供してくれるのは、アップルの「デザイン力」の真骨頂だと思う。

7.なぜか小説家は、ヘビーなMacユーザが多い。

これは超余談。与太話として聞いてほしい。
なぜだろう。私が見る限り、小説家はMacユーザが多いのだ。しかも、かなりディープに使いこなしているMacユーザが。
京極夏彦村上春樹森博嗣……。たくさんのMac小説家がいる。あなたも、あこがれの小説家と同じマシンを使ってみませんか?

Macじゃないから、死にそうだ……」


これは、森博嗣S&Mシリーズでの一コマ。


さて、アマゾンアフィリエイトをいやらしく交えて書いてきたがいかがだっただろうか。
あなたがMacを導入する際に、少しでも役に立ててくれればうれしい。