これぞ、ライトノベル!狼と香辛料

音楽にしろ小説にしろゲームにしろ、普段から、雑食中の雑食。なので、これはライトノベルとか、絵が入っているからとか、あんまり気にしたことはない。
が、これは「ライトノベルって、こうあるべきだよな」って思った。狼と香辛料


狼と香辛料 (電撃文庫)
支倉 凍砂
メディアワークス (2006/02)
売り上げランキング: 57


そうはいっても、表紙の絵がこれだ。
はえてますよ、頭から。
なーんか、受け身なネクラが、不思議な少女に出会い、冒険の旅に巻き込まれていくっていう、ありきたりさを感じて手を出していなかったのだが、ひょんなことからアニメを見て、そのイメージもわりと払拭。


実際は「運」が大前提の設定(不思議な少女に出会い、冒険の旅に巻き込まれていくっていうのは、あながち間違ってない)だったりするのだが、主人公には商売の知恵がある。現代的にいえば、金融知識。
この知恵を絞って、道を切り開いていく。


いくつもの商業都市が栄えた大昔のイタリアのような時代の商人という設定なのだから、当たり前なのかもしれないが、「この主人公でなければならない」という力強さは、素直に「嗚呼こいつ、かっこいい」って感じてしまう。


剣とか魔法もいい。デスノートのような推理合戦もいい。
しかし、その分野の特徴をあぶり出して、そして、あまり専門的になりすぎないところに落ち着かせたプロットのうまさ。
ちょっと考えながら、だからこそ展開の読めないワクワク加減。大金を勝ち取るというベーシックな冒険譚。これぞライトノベル! 現在経済を専攻している大学生だって楽しめるんじゃないだろうか。
さすがは作者さんが経済専攻中に……あれ? 物理学専攻ですか。


★★★☆☆