2007年ベスト本
と、言いますか、あらかじめお断りしておくと、
今年「読んだ」本の中で、印象に残ったものです。
今年「発売された」本ではありません。
一応、「読書」というカテゴリをもっているので、
(あんまりつけてないけど)
まとめのページくらいもっておきゃなきゃね、と友人と話していたもので。
じゃあ、とりあえず始めましょう。
今年印象に残った本は、こんな感じです。
- ミミズクと夜の王
- 家に棲むもの
- 太陽の塔
- パイロットフィッシュ
- 三月は深き紅の淵を
- 慟哭
- 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
- 失はれる物語
レビューを書いたものは、基本的におもしろかったものです。
印象に残ったという意味では、
読後すっごいむかついたものや、なんの意味があったんだこの物語って、
ものもあります。(生意気な)
ちなみに順番に特に意味はありません。
一個一個振り返ってみると、
物語としては、まあ、よくある部類のものだし、
文章も異質な驚きがあるわけではないんです。
ただ、シンプルで上質。走れメロスのようなストレートさが、
愛を記述していることに、はっとさせられます。
落ち込んでいる人なんかには、いいじゃないですかね。
徐々に人気の出つつある小林泰三さん。
小学校高学年に向けているんじゃないだろうか、
というやわらかい文章が引き込むねじれた世界。
半歩ずれた日常が、どれほど怖いものか。
日常ではこんなことお起こりっこないよ、と思いつつ、
なさそうで、ありそうな……。
うおって目を背けたくなる場面も、
この人ならすらすらと読めてしまいます。
これまた人気の森見登美彦さん。本名かな。
なんというか、この人も、古典を読んで感動するんじゃなくて、
「なんちゅー言い方だ」って、笑ってしまってる人なんだろうなー。
そんな「反文学青年」的センス。
まじめな態度で、他人からしたら笑うしかない心情を淡々と述べてくる。
しかし非常に痛々しくて泣けてくる青春小説であることに、
うまさを感じました。すごいおもしろかった。
痛い痛い痛い。
読んでて辛かったなあ、と。
基本的には「喪失と再生」の物語なんだけど、
「死」を媒体にするのではなく、
別れた彼女との再会によって、過去を許していくプロットは秀逸。
生きていくことに疲れている人は、
振り返るのにいいかもしれない。
恩田陸さんに初めて触れた作品。
人気の作家さんなのだが、えらい技巧派でびっくりした。
この本だけだろうか。
この人の魅力は、編集者や物書きなど文章を生業にしている人か、
いわゆる「とんがった本読み中高生」とかじゃないと
伝わらないんじゃないだろうか。そう心配するほど、
実験的な小説。システマティックなものを求めてる人には是非。
私の好きな大どんでん返し系のストーリィ。
感想を書くと、ネタバレになってしまいそうなのだが、
ああ、これは「だましだな」とわかっていても
ひっくり返されるすっきり感がある。
完全な勧善懲悪でもなく、主人公の苦しみ、もがきを
包み隠さず記述しているのもよかった。
文庫落ちになるのをずっと、楽しみにしていた本。
あんまり期待すると、面白くなかったときに
必要以上に失望してしまうのだが、これは、期待通り。
というか、期待以上だった。
高橋源一郎氏が解説に寄せた「絶望感」。
すべてが悪い方向に落ち着く終着を、
先にキャラクタに悪いイメージをつけることによって、逆に
先入観のない平坦な眼で描いてくれた。
最後はこれ。
今年「も」読んだものがずらりとならぶ短編集。
この本というか、結局「しあわせは子猫のかたち」なのですよ。
これだけを何回読んでるんだろうという名作。
ほっとけないんです。
自分見てるようで。
しかし、まあ。
いろんな本読みブログの方がだしていらっしゃるような、
あんまり誰も読んでない本じゃなくて、
むしろミーハーなものばかりですみません。
ポリシィのない私は、大抵人から勧められる本は
面白く思ってしまいます。
特に渋谷ツタヤで面出しされていると特に。
あそこで乙一に出会ったんだよね。
ライトノベルが入ってないけど、今年はそれほどおもしろい
ライトノベルに出会わなかったかな。
何か面白いのがあったら、教えてください。
さて、番外編。
雑食中の雑食。つか、オタクである私は、
もちろん漫画も読んでいます。
その中で、今年かなり印象に残った漫画。
かわいい絵柄とは裏腹に、いやあ、すごいですよ、これ。
なんせ、登場人物のほとんどが狂ってます。
緊急時における人間の心理や、
すでにズレてしまっている人々を
容赦なく描いている。
「次に何が起こるかわからない」という緊張感。
荒木飛呂彦の画風やセリフ回しなんかを真似する
作品は結構見られるようになってきたけど、
実は二世と言えるのは、この作品だと思う。
ジョジョ好きには、絶対にオススメ。