Macのカッコよさ、デザインのよさについて、生意気にも語ってみる

ogijun氏(id:ogijun)が、3月のエントリ、「あなたがMacを使うべき10の理由」を穴埋めされているので、熟読。うん、これはいいもの書いてもらった。ある意味ウェブ進化論よりも名著になったかもしれないw。

さて、一応のWebデザイナとして、あくまでも補足する形で、「Macはかっこいい」について言及しておきたいと思います。
何しろ、Macはカッコいいのですが、デザインが良いかと訊かれると、私は首をひねってしまう部分があります。何を持ってデザイン=設計とみるか、人によってさまざま主張があると思うのですが、私は今のMacのハードウェアデザインは、さほどよくはないと思っています。

簡潔な形への工夫

といっても、私のその不満のほとんどが、現行iBookに集中するわけです。でもその前に、「Macがデザインいいって言われても、よくわかんね」って方に、Macのハードウェアの美しさを語りますと、モノとしての一体感に他なりません。

試しにあなたの持っているWindowsマシンをじっくりと眺めてみてください。特にノートマシンがいいでしょう。プラスチックの部品の結合部分、スリットがかなりいろんな箇所に見受けられないでしょうか? 悪いマシンによっては、ネジ部分がむき出しになっていたりするかもしれません。また凹凸だらけで、長方形とはとてもじゃないけど言い難い形ではないですか? Macは不必要なデコボコや継ぎ接ぎをなるべく目立たないように工夫されてあります。これがMacが美しく見える最大の要素とも言えるんですね。光学式メディアがスロットローディング式なのも、ウィイイインと吸い込んでくれる面白さよりも、トレイ式のガコガコした動きや継ぎ接ぎの多さをなるべく少なくするためと思われます。

もちろん、黄金比や素材の使い方のうまさなど、いろいろな要素においてMacのハードウェアデザインは秀逸なものといえます。しかし人間は大前提として簡潔な形を受け入れやすいんですね。正方形やキューブ型が、「スキのない」形としばしば評されるのも、そういうところから来ているわけです。まっさらな紙に一本の線を引くこと。そこから我々デザイナのジレンマは始まるわけです。並べられた訴求内容をどう整理するか、結論へどう導くか、それがデザインの善し悪しだと言えるかもしれません。

コストに負けた安物素材の固まり

で、iBookなんですが、初期型に比べるとあからさまなデザイン低下がみられます。初期型はコスト設計を重視しながらも、Mac伝統のおまんじゅうのような白の一体感がありました。現行タイプは、フタを開けると……がっかりしますね。iMac登場時に「もうベージュのMacは作らない」と言っておきながら、この安物素材は何でしょう。ベージュでないだけで、かなり大量生産された素材をiBook用に表面加工せずに持ってきていることが簡単に分かります。前述した凹凸と継ぎ接ぎのない基本設計がありますから、気にならない人には気にならないかもしれません。しかし、使っているとすぐ黒ずんでくる、なんだか科学負けしそうなざらつき感など、人間が使うものにしては、痛いミスが目に付いてきます。まるで眺めているのが一番良い、著名な建築家が設計した門のよう。iMacがパソコンというデザインの孤島に持ち込んだ半透明というポップさ、iBookが確立したツヤツヤの満足感。素材については、アップルは他のメーカよりも一歩も二歩も冒険をし、成功を収めています。噂されている次期iBookはコストを重視しながらも、ヒューマンエモーションをくすぶるものに仕上げてほしいですね。
ちなみに、拡張性ならいざ知らず、CPUを中心とした熱にかんっぺきにやられているPowerMac G5も大ッ嫌いです。今はMacBook ProiMaciPodCinema Displayがよいデザインと言えるんじゃないでしょうか。


さて、パーソナルコンピュータというものはハードだけあればいいものではありません。実はMacというハードよりもMac OS Xの方が人間が使う使う上で極上のデザインになっていると思うのですが、長くなってきたのでそれはまた別の機会に。kudzu氏(id:kudzu)が述べられている「お前らがmacを使わないべき10の理由。」を乗り越えられる方、気にならない方は是非是非Macを。(ちなみにこれ、Macが嫌いな人が誇張してたり、揚げ足を取ったものではありません。痛いところをついてくるなぁという事実でもあります。一応、ね。)