何も無い。価値観だって、全部とっぱらえ。 森博嗣『堕ちていく僕たち』
おそらく表紙や帯に書いてあるだろうから、あえてネタバレを恐れずに書いてみると、『性転換もの』。
男が女に。
女が男になってしまうことで起こる様々な出来事。
つまり、短編。
でも、そもそも4,5編しかないし、なんだか物語として、つながっている感じがして、短編の感じがしない。
統一された世界観こそが、唯一のルールであるような、そんな一冊の小説。
もともとが性転換ものだけあって、夏のとてつもない湿気の中で、パンツ一丁になっているようなちょっとした破廉恥な気分をずっと味あわせてくれる。
ほら、恥ずかしいでしょ?
その感覚さえ、どこかにいってしまったら、どうなる?
そんな不思議な感覚。
嫌いじゃない、というか、たまに食べたくなるという感じの小説。
あるいみ、とても変態的。
★★★★☆