価値観ごと変わる時代なのです クリス・アンダーソン「FREE」


普段はこういった本ほど、スルーしてしまうのだけど、あまりにもネット上で人気を博していたのと、やはり自分も無料コンテンツなんてものをweb上に放ってきた人間ということかから、なんとなく手に取ってしまった。


サブタイトルまでいれると、フリー<無料>からお金を生み出す新戦略。


その名の通り、現在「無料」で勝負しているビジネスがいかにして成功し、どのように商売を成り立たせているのか、その具体例や経緯を書き記している。


しかし、それだけではない。
なぜ「無料」が必要なのか?
この「情報」が価値を付け加えられて金銭の流れに乗っている、それがメインの経済であるこの時代において、「無料」に備えることが、いかに人々の心理にかなっていることかを、滔々と説いている。


以下ネタバレ含みます

帯には、「本書は間違いなく、2010年代を生き抜くのに書かせない一冊だ」と小飼弾さんの弁がのっているが、それはまったくもって大げさな話ではない。


本書が取り扱っている「無料」という範疇が、タダで商品がもらえること、だけでなく、タダで商品が流通してしまっていること、までも扱っているからだ。


どういうことか?
不正コピーに代表されるような海賊版のやりとりも、この「無料」を表す代表例なのだ。


中国やアジア各国で蔓延している不正コピーを、悪と見なすのはたやすい。
しかし、「情報」を「フリー」にさせるのは、もはや我々人間の本能レベルにまで達してる。
それがこの2010年代。


中国の経済レベルが日本を越えたこの時代を単なる人口などの要因としてみるのではなく、フリーという人間の金銭に対する価値観そのものが変わったとみなければ、もうビジネスなんて、やるべきではないのだ。


★★★★★