モンハンラジオがおもしろい


いま大人気のモンスターハンターだが、そのポッドキャストがあったので、聞いてみた。
そして、驚いた。


カプコンさんというのは、デザイナーの視点からすると、非常に力量の高い(と、私レベルが言うのもおこがましい)会社さんなのだけど、このラジオを聞いていると物作り・設計に対して、ものすごく高い気概があるのだなあと驚いた。

特にデザインを職/志している学生は聞いた方がいいだろう。
第4回は、実際にモンスターハンターのデザイナーを呼んで、開発のインタビューを取っている。


まずは、デザイナーという職種がどういう仕事を説明しているのだが、開口一番に「絵を描くことが仕事ではありません」というものだった。
そこにどういう物語があるのか、どういった考えからそうなるのか。頭をつかうことに、時間を使います。
と仰っている。


当たり前のことのようでいて、これをさらっと言ってのけるデザイナは、わりと少ない。
特に今は、「ユーザビリティ」「レイアウト」といった感じに、ウェブ上の使い勝手に特化したデザインの要素が踊っているからだ。


どういった経緯、進化でこんな形になっているのか。
なんとモンスターハンターでは、一個一個の武器防具にまで、物語がついているそうだ。
そうなると、その物語が生まれた場所、その気候、そこにどんなモンスターが住んでいるか、そのモンスターがどんな大きさで、甲殻類なのか、鳥類なのか……etcで、まったくデザインが違ってくる。
表面上の形態を作っていても、仕方がないことになるのだ。


しかしこのゲームについて、私が一番感心していたのは、モンスターのデザインだ。
人間よりも何倍、何十倍の大きさになるモンスターは、恐竜の要素を取り込んでいて、生物的にまったく違和感がない。
たとえば、私は昔からガンダムのような“細身”の巨大ロボットが、果たして二足歩行できるものか、疑問を持っていたのだが、モンスターハンターでは、実際の生物をモチーフにして、その形態を作っているという。



(c)CAPCOM
たとえばこのラギアクルス。
解説に寄れば、普段は水中で活動し、陸に上がってくることもあるというワニみたいなモンスターなのだが、極め付けは、腰の骨だという。


水中にいることもあって、浮力により、その巨大な四肢を支えられるわけだが、問題は陸上だ。
長い首を回し、強靱な顎で他の生物を攻撃するわけだが、陸上のことを考えると、決して足腰を退化させるわけにはいかない。
陸上でも問題なく行動できるために、腰の骨を工夫して、その意図を実現させたという。


このゲームをプレイしている方、腰の骨なんて、見えますか?
しかし、その腰の骨により、モンスターの動きにも現実との違和がなくなり、プレイヤーは、知らず知らずのうちに、攻略を知っていくわけだ。つまり、熱中、面白さにつながっていく。


このモンハンラジオ第4回では、実際に骨と生物学の専門家を呼んで、モンスターハンターのモンスターについて評価をもらっている。


形態は機能に従う、というが、その言葉の「表面」だけを受け取るのではなく、「骨」から「なぜ」を作り込んでいくこと。
これがこの言葉の本質なんだよなあ。


現在デザインを経営に取り入れようとしている方々、こういった志の高いデザイナを是非見つけてください。


モンハンラジオは、こちらからお聞きできます。(iTunesが立ち上がります)
http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=325662187