第105回
短編小説第105回になります。
今回は通常の一回完結のお話です。
ようやく更新できるようになってきたなー。
三連休は、休めます。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
むじな開運法というまじないが流行始めた。
その名の通り、顔のパーツを消してしまうという危険なまじない。目鼻口は、不幸が入る蛇足器官というのが、その根拠だった。
全国から反響が起こり、幸せが日本中に広まっていった。有識者は、自分に必要な情報だけが入ってくるすばらしい開運法、とワイドショーで述べた
彼も導入した。
特に悩みはなかったが、年頃の娘がもっと心を開いてくれればいいと思っていた。
良識的な妻は反対したが、結局彼の家族は全員が試すこととなった。
まず彼自身に変化が起こった。
論理的になり、効率的な仕事を心がける結果、昇進が叶った。
娘も必要なことは話してくれるようになった。妻は節約のスキルを向上させ、実用書まで出した。彼の家はみごと富裕層の仲間入りを達成。家族は幸せになった。
本当にいいまじないだ――。彼はこのむじな開運法に、何の疑いも持たなかった。
二ヶ月経ったある日、彼は通勤のため電車に乗っていた。ひときわ目を引く中吊り広告がある。『むじな開運法』だった。
こんな所で宣伝していたのか。
まじない成功者として、彼はその広告を誇らしく眺める。
「あんなの全然効果ないぜ」
突然、同じ広告を見ていた誰かが、耳元に囁いてきた。
なぜ――? 彼は疑問といらだちを半分ずつ持って尋ねた。
「触角をなくせば、自分勝手な解釈をするからだ。それがむじな開運法の種明かしだ」
男は電車を降りるまでずっと広告の文句を言っていた。
彼も電車を降りる。
世界が、少し鮮明になった気がした。
顔のパーツが復活していた。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
短編小説第105回、テーマ「まるで」でした。
さあ、今度はどうでしょう。
娯楽になっていますか?