第103回

短編小説第103回です。
書いてないわけじゃないんだ。
更新する暇が……いや、あるはずだ。

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 シャトルが飛び立って二週間後、地球は未知のウィルスによって滅んだ。任務を成功させた船が帰還しようにも、誘導無し、かつ単独での着陸など、不可能だった。船員達は宇宙で一ヶ月目の朝(と呼ばれる時間帯)を迎えた。
「ねえねえ、地球と連絡取れた?」国士無双と呼ばれた豪傑船長も、今では弱気なオッサンである。
「いい加減あきらめてくださいよ」船員は、げんなりとした顔を見せた。
「だってさぁ、地球が滅んだなんて連絡は入っとらんのでしょー?」
「滅んでなければ、交信があっても良さそうですがね」
「もう一度訊こうよぉ。なぜ滅んだとわかるの?」
 船員は、地球から発信されている電波の解析グラフをモニタに映した。ある日を境に、出力が大幅に減少し、そのまま緩やかに下降している。「この通り、人類の営みを示す証拠がないんですよ。ナサはすべての電力をシャットダウンしています」
「こっそりサバイバルしてたりして」
「どうでしょうかね」船員すぐに首を振った。「船長も気づいているんでしょう。これは地球だけでなく、宇宙全体から生物が消失している、と」
「そ、そういえば、食料と燃料は1ヶ月分しか持ってこなかったねぇ。なぜこうして無事に飛んでいられるんだろう」船長はしらばくれた。しかし、その質問も船員の論を肯定する要因になった。
「ここは宇宙ですからね。一度飛んでしまえば、エネルギィはまったく……」
「あ、いや、いい。どっちにしろ着陸はもうできないのか。……そう言えば、最近腹が減らないな」
 船員はため息をついた。「ですから、もうこの宇宙に生命体は……」

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Photo by (c)Tomo.Yun (http://www.yunphoto.net)


短編小説第103回、テーマ「まったく」でした。
ユーモア系の方が、向いているような気もするんだよね。