萌絵、西之園に昇格 φは壊れたね

ゆっくり読んで、なるべく全部の作品を読み切らないようにしていたのだけど、遂にGシリーズに突入。


φは壊れたね (講談社文庫)

φは壊れたね (講談社文庫)


85ページにしてようやく登場の萌絵だったが、なんと電話の向こうだった。
読み始めてすぐに気がつくのが、萌絵が西之園と名字で呼ばれていること。
本格的に主人公に昇格するのかと思いきや、読み進めていくうちにそうでもないな、と気がついた。

森博嗣さんはいつも、読者を裏切ることをモットーに作品を作られているとのことだったが、それでも共通して貫かれているのは、「主観と客観」ではないだろうか。
思えば、S&Mシリーズでも、犀川なのか、萌絵なのか、結局主人公が定まることはなかった。


ある部分では主観を与え、ある部分では客観へと追いやる。
その切り替えや定まらないローテーションの技術。
詩的なセンテンスにその技術を載せることができるのが、森博嗣さんの人気の秘密だろうなあ。
今回もすごく面白かった。


★★★★☆