この尾崎紅葉、読者にも登場人物にも容赦せんっ! 金色夜叉
お、面白そうなタイトルじゃん。
と、思いきや名作文学の一つで、自分の記憶力の曖昧さにワロタ。
しかも、上下巻に分かれていたことにorz。
あとで下巻を買い求めることとなった。
amazon:金色夜叉(上) (岩波文庫) (文庫)
amazon:金色夜叉(下) (岩波文庫) (文庫)
さて、アマゾンアフィリエイトで申し訳ないが、この本の表紙写真を見てほしい。
蹴ってます。
学生風の男が、女の人を蹴ってます。
昔から古典をまっすぐ素直に読めない男なのだが、この金色夜叉でも爆笑させられた。
この表紙絵のシーンでは、
「金のある男が良いのか、このアバズレがあ!!」って、本当に女の人を蹴っていたり、
「私を許して下されないのなら、いっそのこと殺してください」って懇願する女の人を、
「うるせえ、自分で死ね!」って切り捨てたりする。
(両方とも超意訳)
昔の人って、表現の束縛が今と違うから、価値観が違っていたりして笑わされたり、びっくりさせられたりする。
しかし、底意地の悪い笑いばっかりしてたかというと、まったく逆で、すごい面白かった。
一つの過ちを発端に、冷淡たるひたむきさを選んだ主人公と後悔を背負い続けるヒロイン。おもしろさのタイプは、なんというか、恋愛を軸にもんもんとさせる月9型なのだけど、この尾崎紅葉は現代の少女漫画的に容赦がない。徹底的にこの二人をいじめる。
しかしね、一番の容赦なさは、この「金色夜叉」、未完という事実なんだ。
★★★☆☆