閉鎖病棟
「その後」の人生、とでも言うのだろうか。
今年はまだはじまって二週間だ。
あと、五十週も残っている。
と宣ったのは、スティーブジョブズだが、
今年初めにして、こんなにすごい本に出会った。
「閉鎖病棟」の名のごとく、精神科に入院、通院している人々の半生を描いたものだが、決して、暗くじめじめしたネガティブさがない。
むしろ、のんびりとした日常は、忙しい身からすると、多少うらやましかったりする。(不謹慎)
世間から眉をひそめられる人たちが、いかに「安静」を求めているかが、たんたんと、短い文章に描かれている。その場面場面を印象的にかいて、物語を必要以上に盛り上げるようなことはしない。
ある意味、「自分と照らし合わせる」のは、同じ環境にならない限り無理な本だ。共感を覚えるとなれば、その人は嘘をついているんじゃないか、と私は勘ぐってしまうだろう。
なのに、何度も泣けた。過去に向かいながらも、徐々に未来を夢見るようになっていく姿が、本当に心を打った。
これは本当にすごい本だった。
★★★★★