日本経済、次の暗黒恐慌へ

この前の大幅下落、日経平均が久しぶりに一万七千円台を下回ってしまってから、どうにも怪しいなと思っていたのだが、やはり回復傾向が弱い。日本経済は次の不景気に入ってしまったんだな、と改めて思った。


思えば「かなりの長好景気」と言われて久しい今回の好景気だったが、マスコミが言うように、実感できた方はかなり少なかったんじゃないか。前小泉総理大臣、竹中大臣が行った経済対策は、かなり平たく言えば、特定の業種に対しカンフル剤を打ち、その業種の回復に引っ張られる形で、まわりの企業が業績を上向かせていくというプランだった。


ただこのプランの穴は、“失われた10年”によって、その特定の業種がかなり臆病になっていたことだ。元気になったはいいが、いつまた病気の状態に戻るかもわからない。それではまわりに元気を振りまく余裕なんてない。ましてや、従業員の賃金なんて上げられるわけがない。学級閉鎖状態の教室に一人放り出されたようなものだった。


また、マスコミはこの株安の原因として米国の「サブプライムローン問題」を取り上げている。これは、なんだか、これからの不況の原因として考えると的を得ているようで、かなり一要素すぎるような気もするのだが、まったく関係なくもない。
先の前政権がもう一つの経済対策としてひそかに行っていたことが、米国や英国に代表されるような「頭よくお金を稼ぐ方法」だ。つまり金融や特許の手法。
海外に経営の母体(モノづくり)を売り払う反面、ものを持たないお金の稼ぎ方を日本企業に浸透させようと努力していたわけだ。ここにこれからの不況の中心があるような気がしてならない。


マスコミはホリエモンのことを「マネーゲームの申し子」と揶揄したわけだが、ものを持たないお金の稼ぎ方は、どこかものを持っているところにお金を託し、お金でお金を増やすという本当に錬金術ともいえるやり方だ。
ものを持たなくなった日本が、どのようにしてお金を稼ごうかというと答えは簡単。中国だ。

今回の不況の特異、というか、希有な点は世界恐慌に近いものがあることだ。
これまでの不況はどこかの国が不景気に入った場合、利害関係上逆の位置にある国というのは、好景気に包まれることが多かった。日本とアメリカなんか、その代表例だろう。
しかし、今回のように金融が発端の不況というのは、みんなが一番良いやり方だと信じていたものだから、根が深い。サブプライムローンがバブルのように語り継がれていくかもしれない。世界中が持てるすべての錬金手法を中国に紡ぎ出す。


中国は世界恐慌の中心として、あと数年は残り香の好景気を味わうだろう。なんといっても人口がある。都市部にますます人口が集中し、超効率的な市場が形成される。世界中が中国向けの製品を開発し、日本や米国、その他世界中の中国に対する見方が一変するだろう。その後、国民の富裕層がある一定の水準を超えた時に、一気にそっぽを向かれる。豊かになった分、製品の大量投下も功を奏しなくなってくるからだ。同じ、差別化向け戦略をとるなら、近い自国民に向けたほうが楽になる。これが何年後だろうか。


もはやお金もない、人口もない、よって市場がない日本は見向きもされなくなり、日本は錬金術によって国の産業を成り立たせていかなければならない。しかも米国、英国といった先輩方を相手にだ。
格差は問題ではなく当たり前のこととなる。成功している錬金プログラムを組めた企業、業種しかもうからないので、大多数は貧乏にあえぐことになる。日本経済はこの上ないほど上流階級と貧困層がはっきりと別れた恐慌に陥るだろう。


そんな鐘の音が聞こえたような、はっきり言って、聞こえてほしくないんだけどのお盆だった。